仲間ができた、戦う理由ができた。
あの居場所…幕針文化学院を守りたい、その一心でわたしは戦っている。
もうあの頃の臆病な自分ではないのだ。
もちろん周りには誰も文句を言う人はいない。
兄と比較する者もいない。
わたしはわたし、それ以外の何者でもない。
「今だ」
塔のようなカゲが歩道橋まで数メートルの所まで来た時、水晶は拳銃型P.A.の引き金を引いた。
P.A.から発せられた光り輝くエネルギー弾は真っ直ぐに飛び、カゲの頂点…コアを貫通した。
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カゲは不意に動きを止め、何か喚き声を上げた。
その直後、カゲは頂点から崩れるように霧散していった。
「…やった?」
歩道橋の壁から紀奈が顔を覗かせる。
「やった…みたい」
弾も壁からカゲがいた方を覗き見る。
2人は水晶の方を見た。
水晶は静かに、構えた拳銃型P.A.を下ろす。
「やったぁ‼︎」
紀奈と弾は水晶に飛びつく。
「すごいよ!」
やったよみあきち!と紀奈は水晶の頭を撫でる。
「すごーいみあきちー」
弾はぴょんぴょん跳ねて喜んだ。
「お前らガキか」
寵也が呆れたように言うと、弾はボク達子どもだしーと頬を膨らませる。
「とりあえず3人共、まだ小型のカゲがこっちに攻めてきてるんだけど」
「あ、そう言えば」
「そうだったね」
巴がそう言うと、弾と紀奈は水晶から離れて手元の拳銃型P.A.を準備した。
「ほら加賀屋さんも」
「あ、うん」
巴に促され、水晶は歩道橋の通路にしゃがみ拳銃型P.A.を構えた。