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白と黒と青き星〜第4話 懐疑〜後編

「本題?」
「そう、今回の件には何か裏があるんじゃないかなって」
そう言った大幡の表情はかなり真剣だ。
「裏なんて大袈裟じゃないか?ほら、双子田万川って県境だろ?管轄の問題で他部隊と折り合いがつかなかったとかさ」
なぜ俺がこんなに誤魔化すのか自分でも分からないがこの反応はかえって2人の議論を加速させた。
「だとしても澁谷分校には先輩達がいるはず、なのに招集がないなんて…」
「まるで僕ら0X期部隊だけで輝士班の仕事をさせたかったみたいな感じ」
2人の会話はどんどんと何かの答えに近づくように、掛け合いの間合いが短くなっていく。
「もしそうだとして何のために?どの仕事も少人数でやる意味はないし、あり得るとしたら見せるため…とか?」
安直とわかってはいたが2人のペースに呑まれ、つい口走ってしまう。しかし2人のリアクションは至って真面目で調子が狂う。
「見せる…」
「そうか、デモンストレーション!」
俺だけがまた置いていかれる。
「え?」
「デモンストレーションなら確かに同期というテーマ性を持たせた意味も、美空のスケジュールを狙ったのも色々筋が通る」
その大幡の具体的な言い方に初めて内容の輪郭が俺にも見えてきた。
「美空の遅刻は手順を見せるため、そのためにブッキングのあった0X期部隊が招集された」
「でもなんで隠すんだ?STIの成果というならもっと大々的にやるべきだろう」
いつしか出撃準備室に置かれた机に向かい3人の議論は加熱していた。
「余程の要人への紹介か、それなら同期のみで構成する理由がないな」
「一つの代で全ての仕事をこなせることを見せる…でも集団を養成する目的とはイマイチ合わないな」
出した意見どれもが決定力には欠けていた。そうした完全な膠着状態を破ったのは津上の一言だった。
「あ、まずい!そろそろ行ってご飯作んないと」

  • 鏡界輝譚スパークラー
  • さぁ、本部が隠してるのは一体…
  • 期限は守らない所存です
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