それから30分もしない内に、水晶達は歩道橋の方に攻め込むカゲを倒し切った。
その後すぐに、出現したカゲは全て討伐されたと言う情報が入り、全てのスパークラーに撤収命令が出た。
「いやぁ今回の戦いも大変だったね」
「だね」
紀奈と弾はそう言いながら通りを歩く。
辺りはもうすっかり夕暮れだ。
「一時はどうなることかと思ったけど…まさか加賀屋さんのお陰で窮地を切り抜けることができるとは思わなかったわ」
巴もそう呟く。
「それにしても加賀屋は随分無茶したよな」
普通死ぬぞアレと、寵也は後ろを歩く水晶に目を向ける。
「…考える前に身体が動いただけだよ」
だから、たまたまと水晶は笑った。
「ふーん」
寵也がそう頷いた時、交差点の向こうから聞き馴染みのある声が聞こえた。
「おーい!」
見ると、水晶の兄…石英とそのチームメイト達が立っていた。
「探したよ水晶」
そう言いながら石英は水晶達の方に駆け寄る。
「いやぁ急にカゲの大群が攻め込んできて狙撃ができなくなった時はどうなるかと思ったけど、水晶がアレを倒してくれて助かったよ」
ありがとうね、と石英は水晶に笑いかける。
「…別に、身体が勝手に動いただけだから」
感謝される程のことじゃない、と水晶は呟く。
「えーそんなに謙遜しなくてもいいのに」
「兄さん達には敵いません」
「えー」
加賀屋兄妹が仲睦まじくしていると、不意に石英の後ろから声が聞こえた。