「石英さん」
石英が振り向くと、石英の部隊のメンバーの少女がいた。
「この後どうしましょう」
「あーそうだね」
石英は宙を見る。
「幕文の方へ戻って荷物をまとめた後、ぼく達のSTIへ帰ろうと思う」
折角なら先に幕文の方へ戻っててもいいよ、と石英は付け足す。
「了解しました」
ではお先に、と少女は言うと、残りのメンバーと共に去っていった。
「…」
加賀屋隊の面々はその様子を黙って見ていると、石英がこう言った。
「そう言えば」
不意に石英が口を開いたので、水晶は兄の方に目を向ける。
「昔の約束、果たせたね」
「?」
兄が急にそう言ってきたから、水晶は首を傾げる。
「昔約束したじゃないか」
いつか一緒に戦おうって、と石英は笑いかける。
「…あー」
水晶はやっと思い出したのか、恥ずかしそうな顔をした。
「水晶が違うSTIに行っちゃったから、もう一緒に戦えないと思ってたけど…」
よかったよ、約束が果たせてと石英は呟いた。
「…別に、あれは“同じSTIで戦おう”という意味でこういうのじゃ」
「もー照れちゃってー」
水晶がそっぽを向きながら言うのに対し、石英はにこにこ笑う。
「…また一緒に戦えるといいね」
石英がそう言うと、水晶はそうですか、と淡々と答えた。
「じゃあそろそろ幕文へ戻ろうかー」
早くしないと日が暮れちゃうよーと石英は伸びをしながら歩き出す。
「…加賀屋さん」
巴に名前を呼ばれて、水晶は振り向く。
「私達も帰りましょう」
私達のSTIへ、と巴が言うと、水晶はこう答えた。
「うん」
そして加賀屋隊は帰るべき場所へと歩みを進めた。
〈おわり〉