「戻ったぞ、プロフ」
「見てたよ親友、ご苦労様」
「そっちこそ」
「ええ? ワタシは大変なことなんて何もしてないよ?」
「そういうのは机の上の缶を隠してから言ってくれ」
吉代が指差す先、明晶のついている机の上には、『Photonic Dorper ver.1.5.0』の空き缶が既に4本転がっていた。
「仕方ないんだよぅ。何せ私の光の力はこれっきりだからね」
明晶の手首のデバイスは、赤く染まったゲージと『1』の数字を表示している。
「ドローン飛ばすだけで馬鹿にならないんだ。電波とバッテリーの両方を光の力で代用してるからね」
「…………」
「あ、ワタシがあげたデバイス、どうだった?」
そう問われ、吉代は思い出したように右腕のデバイスを見た。
「あー、結局使わなかった。まあ邪魔にはならないから良いか、って感じだな」
「へー。あ、光の力どれくらい減った?」
「……今1133だな。5だけ減った」
「ワタシなら死ぬね」
「だな……ん」
不意に、吉代が背後を振り返った。
「どしたの」
「いや……一応、入ってくるときにはちゃんと扉も閉めたし鍵もかけたし、カゲ除けも動いてるんだろ?」
「うん? ……うん、問題無く動いてる」
明晶もモニターを確認してから答えた。
「じゃあ……この足音は何だ?」
吉代のその言葉とほぼ同時に、二人のいる部屋の入り口に、腐り爛れたような禍々しい黒い手がかかった。