0

鏡界輝譚スパークラー:陰鬱プロフェッサー その⑦

「……あれ、死なない」
明晶が間の抜けた声をあげた。撃たれたカゲは反動で仰け反ったものの、銃創は少しずつ塞がっていっているのだ。
「ごめん、殺しきれなかった」
「いや良い、こっちで片付ける」
カゲが怯んだ隙を狙い、吉代が斬り上げる。両断されて体外に投げ出されたダークコアを明晶が正確に撃ち砕き、そのカゲは遂に消滅した。
「ふぅ、危ないところだった……」
「畜生トドメ搔っ攫いやがって……。……ところでプロフ、なんでカゲが入ってきてんだ」
「さあ……あのカゲが強かったからかな? そもそも『カゲ除け』って、この小屋の壁全体に光の力を通して、近付いたらちょっと押し返しつつ微弱なダメージを与えることで奴らに近付かせないようにしてるんだよね。これに勝てるほど強いカゲなら、まあ入って来れるだろうねぇ。あいつらの浸蝕能力はすごいし」
「なるほど。……つまり、今この小屋、穴開いてるのか?」
「多分ね」
「おい待てヤバいんじゃねえのか?」
「うんヤバい。この小屋は、この村にとっての『最後の砦』だ。突破されたらワタシ達の希望は完全に潰える。というわけで、直してきて?」
「言われなくても」
そう言って吉代は駆け出した。
「道具と建材は入ってすぐ右……だから中から見て左の壁の隠し扉に入ってるからー」
吉代の背中に呼びかけ、明晶はモニター越しに防衛システムの点検を始めた。

  • 片付けられなかったね吉代
  • 遅刻組が確定した瞬間
  • 鏡界輝譚スパークラー
レスを書き込む

この書き込みにレスをつけるにはログインが必要です。