「今はお前に構ってる気分じゃないんだ」
だから、放っとけとナツィは呟く。
「…」
かすみは思わず黙りこくる。
「もういい」
俺もう行くから、とナツィはそのまま歩き出そうとしたが、急にその腕を掴まれた。
振り向くと、かすみがナツィの左腕を掴んでいる。
「…ナツィ」
かすみはポツリと呟き、ナツィの腕を握りしめた。
「無理、しないで」
かすみは絞り出すように言った。
「…」
ナツィは思わず驚いたような顔をする。
自然とその腕から力が抜けた。
「ナツィ、何かあるといつも1人で抱え込むもん」
自分には分かるよ、とかすみは笑いかける。
「だから1人にならないで」
話、聞くからとかすみは言った。
ナツィはつい俯く。