精霊はこちらを睨みながら静かに唸っている。
「きーちゃん、とにかくその子を返してみたら?」
かすみにそう言われて、キヲンは腕の中の精霊に目を落とす。
「…」
キヲンは暫く小さな精霊を見つめていたが、やがて分かったと小さな精霊を地面に置いた。
「ばいばい」
小さな精霊はぽてぽてと親と思しき精霊に駆け寄って行く。
親と思しき精霊は唸るのをやめて、小さな精霊に擦り寄った。
「…親子だったみたいだね」
その様子を見て、かすみはポツリと呟く。
「なんだ、そういうことだったのか」
慌てて損した、とナツィはため息をつく。
「あら、お前あの2体が親子だってことに気付いてなかったの?」
ピスケスはナツィに嫌味っぽく言う。
「そう言うお前だって気付いてなかったじゃないか」
1世紀くらい生きてるクセに、とナツィは言い返す。
ピスケスはうふふと笑った。
「よかったね、親の元に帰れて」
キヲンは1人ポツリと呟いた。
「…じゃ、そろそろ戻ろっか」
精霊を元の場所に返したし、とかすみはキヲンに話しかける。
「うん!」
キヲンは大きく頷いた。
〈幺妖造物茶会 おわり〉