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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 16.トウテツ ⑩

夕方、辺りが薄暗くなってきた頃。
わたし達はミツルと別れ駄菓子屋を出た後、普段の解散場所である寿々谷駅前に向かっていた。
「ネロ、結局ココアシガレット2箱目を買ってもらったのか」
「えー良いじゃん」
ネロと耀平は楽しく談笑し、黎と師郎も時々会話している。
わたしはその様子を後ろから眺めていた。
今日も楽しかったな、そう思いつつ路地裏を歩いていると、ふとネロが足を止めた。
「?」
どうしたネロ、と葉柄がネロに聞く。
師郎や黎もどうしたんだ?と不思議そうな顔をする。
ネロは少し黙っていたが、言いにくそうに口を開いた。
「…気配が、する」
「気配?」
耀平が聞き返す。
「うん、気配」
ネロはポツリと呟く。
「もしかしたらこれは…」
ネロがそう言いかけた所で、うっふふふふふとどこからともなく高笑いが聞こえた。

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