「ねえ君、海を渡る蝶の話を知っているかい?」
「……チョウ?」
「ちょう」
「バタフライ?」
「ばたふらい」
「…………バタフライ・エフェクトのことか?」
「うん?」
「日本にはこんな諺がある。“風が吹けば桶屋が儲かる”。風が吹けば砂埃が舞い上がって目が潰れる奴が増え、目が見えなくなった奴は三味線を弾くようになり、材料の猫革のために猫が減り、それによってネズミが増え桶が齧られるから桶屋が儲かる、って要領で、関係無いと思われるようなところで影響が出るって話だな」
「うん」
「これの英語版みたいなのが、バタフライ・エフェクトだ。蝶の羽の羽ばたき一つが地球の裏側じゃあ巨大なハリケーンになるかもしれない、ってエピソードが元ネタのやつ」
「うん」
「ただの羽ばたき一つだけとはいえ、これはたしかに蝶が海を越えたと言えるんじゃあないか?」
「…………」
「……違うとは思ってたけどやっぱ違うのか」
「うん。アサギマダラって蝶のことなんだけど……」
「そっかー……」
作品制作ありがとうございます。
むしろこの2語でアサギマダラが出てくるのはすごいですよ(ちなみにぼくはこの作品でアサギマダラが長距離移動をすることを知った)。