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白と黒と青き星〜第10話 疑考〜

転校生は本当にそのまま俺たちの部屋までやってきた。
具体的なことが何一つ決まっていないためひとまず客間に通すことになった。
「ここが新しい寝床か」
さも当然という顔で部屋の戸を開ける姿ももう誰も驚かない。
「布団はそこの押し入れにあるから」
美空は口調も含め、すっかり順応している。芸能界への偏見かもしれないがある意味さすがだ。
「そしてカレーの匂いがするこっちがキッチン、その先がリビングにあたる場所か」
仮宿がどんなところか分からないが壁を2枚近く挟む位置のキッチンにあるもう冷めたカレーの匂い、そしてその配置を察知したのだとしたら大した嗅覚と想像力だ。
「よくわかったな、仮宿も似たような間取りなのか?」
「いやもっと狭い。少なくともこんなに部屋数はなくて、1kくらいかな?」
やはり既視感などの前提情報なしでこの間取りを当てたのか、五感のどこが鋭いのかまだ分からないが確かに光の力次第では十分に体育科編入可能な域だ。

じゃああの時感じた違和感はなんだ…?

「雑魚寝っていうのもやってみたかったんだー」
俺が分析しようと考えている間に客間には布団が広げられ、転校生が手足を広げ横になっている。とぼけているのか…それともやはり何かを隠しているのか…
「顔怖いよ、ジョー」
大幡に声をかけられて我に返る。
どんなに違和感があってもここまで疑う必要はない、あったとしても今じゃない。
「そんなに考え込むなんて珍しいね、いつもなら考えるより先に行動するのに」
行動しなかったというより行動出来なかった。この転校生から感じる得体の知れない何かを前にすると…

  • 鏡界輝譚スパークラー
  • かなり長めになっちゃう転校生の説明
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