「トウカはおれたちの“恩人”だから…」
アカネはそう言いかけて、不意に言葉を止めた。
「?」
どうしたのアカネとトウカが首を傾げた所で、アカネは突然こう叫んだ。
「伏せろ‼︎」
その言葉と共に、辺りに銃声が何発も鳴り響いた。
「!」
トウカが驚くよりも早くアイはトウカを伏せさせ、アカネもその場に伏せる。
「…」
銃弾の雨が止んだ所で、アカネは建物の屋根を見やりながら立ち上がる。
そこには覆面姿のスナイパーたちがいた。
「出やがったか…」
アカネはそう呟いて、2人共、大丈夫か?とトウカとアイの方を見る。
「大丈夫よ」
「平気です」
立ち上がる2人を見ながらアカネはなら良かったと声をかける。
「とりあえず、アイはトウカを連れて安全な所へ逃げてくれ」
アイツらはおれらがなんとかする、とアカネはアイの目を見る。
「了解です」
アカネさんも気を付けてくださいね、とアイは言うと、行きましょうとトウカを連れてその場から立ち去った。
アカネは2人が立ち去る様子を見送ってから、建物の屋根を見上げる。
さっきトウカを狙ってきたスナイパーたちはもうすでにその場から去っていた。
「…聞こえるか、みんな」
アカネは耳の通信機に手を当てながら言う。
「さっき襲撃されたんだが、犯人どもに逃げられちった」
多分奴らはまたトウカを狙ってくる、とアカネは付け足す。
「だからおれたちは奴らの作戦を阻止する!」
絶対にトウカを守り切れ!とアカネは語気を強めた。
「了解‼︎」
通信機の向こうから、威勢のいい声が聞こえた。
「…頼んだぞ」
アカネはポツリと呟くと、その場から走り出した。