「え、でもトウカさん後は大丈夫って…」
「そんなこと言われても付いていろや!」
「まぁまぁアカネ」
過熱するアカネに対し、シオンは落ち着いてとなだめる。
「トウカが好きなことはよく分かったから」
アイを詰めるのはおやめなさいとシオンは諫める。
「…」
アカネは不満げにそっぽを向いた。
「…とりあえず、この人たちどうします?」
話が落ち着いた所で、ミドリがこう切り出す。
「いつも通り警察に届けますか?」
「あーそうだな」
この通り街中で戦ったモンだし、警察も来ているだろうからなとアカネは倒れている黒服の人物たちを眺める。
「それにしても、『人造人間のせいで』ねぇ…」
シオンが黒服の人物たちを見つめながら呟く。
「確かに、戦争ではわたしたち人造人間が兵士として世界中で猛威を振るったし、戦争が終わってからは兵士としての任務を終えて一般人と同じように生活することになったけど…」
「戦時中の人造人間のイメージと、急速に人造人間が生活に入り込んできたことによる社会の混乱で人造人間を嫌う一般人も少なくないからな」
人造人間の地位向上を願う活動家のトウカが狙われるのも無理はない、とアカネはこぼす。
「ま、だからおれたちがトウカを守ってるんだけどな!」
戦争が終わって行き場をなくしたおれたちを拾ってくれたトウカへの恩返しだ!とアカネは胸を張る。
「そうね」
生まれない方がよかったわたしたちに生きる意味を与えてくれたあの子には感謝してもし切れないわ、とシオンは笑う。
「それに…」
あの子に拾われたお陰であなたに出会えたものね!とシオンはミドリの腕に抱きつく。
ミドリは、人前でいちゃつくのはやめなさいと冷ややかな視線を送った。
「とにかく、こいつらお巡りに引き渡したらトウカの所に行こうかね」
他のメンバーもこいつらの仲間を警察に引き渡してたりトウカの元に向かってたりするだろうし、とアカネは足下に倒れる黒服の人物たちを足でつつく。
「そうですね」
「ええ」
「そうしましょう」
3人はそれぞれそう答えた。
〈おわり〉