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鏡界輝譚スパークラー:プロフェッサーよ手を伸ばせ その①

「ぁー……増えてきたねぇ、新型」
ドローンのカメラが映す映像に苦笑しながら、明晶は光の力を回復する薬剤を一口吸った。
映像を出力したモニタには、数日前に彼女が潜むトタン小屋を襲撃したものと同タイプのカゲの姿が多く見られていた。
「せっかくだし、名前でもつけてあげようかな。ちょっとは愛着も……いや湧いちゃ駄目なんだけど」
ケラケラと笑っていると、部屋の外から荒々しい足音が近付いてきた。
「んー、何だい親友、今日は随分と激しいエントリーじゃないか。そんなにワタシに会いたかったのk」
「プロフ! 輝士拾った!」
「はぁん?」
怒鳴りながら部屋に入ってきた吉代の肩には、気絶した輝士の少年が担がれていた。
「……何その子? まだ若いね、15歳くらい?」
「知らん。それよりちょっとマズいことになってんだ」
吉代が床に下ろしたその少年の右腕はカゲに浸蝕され、新型の触手のように異形化していた。
「うわぁ……カゲに堕ちかけてる」
「光の力を使い果たしてるんだ。これ、どうにかできないか?」
「…………」
顎に手を当てて考え込む明晶の背後で、ドローンのカメラ映像が途切れ砂嵐に変わった。ドローン機体そのものが、カゲに撃墜され破損したのだ。
「プロフ?」
「……いやね。まあ道はあるよ、親友。君の特別強い光の力に中てられて、彼の身体を浸蝕するカゲもノロマになってるんだ。これは僥倖だったね」
言いながら、明晶は床下収納を開き、その中に隠していた鍵付きの箱を滑車で取り出した。
「……実を言うと、カゲに染まった肉体を治療する方法はちょっと思いついてないんだ、悔しいけど。だから、カゲに堕ちた部分をまるっと『斬り落とす』」
箱を開くと同時に、冷気が白い霧となって漏れ出す。その中から明晶が取り出したのは、無数の小型機械や配線が繋げられた、刃渡り30㎝、全長1mはあろうかという巨大な外科用メスだった。

  • 蘇れ長編!
  • 鏡界輝譚スパークラー
  • 数々のプロフ製ギアは大抵の事態に対応する
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