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鏡界輝譚スパークラー:プロフェッサーよ手を伸ばせ その④

「でもその子すごいよねぇ。あの密度のカゲの中で無傷だなんて。むしろなんで気絶してたんだろ」
「いやあの気持ち悪いカゲ相手じゃ正気保ってるのもキツイっすよ……あ、彼女を助けてもらったのは、ありがとうございます」
「うん、後でワタシの親友にお礼言っときな」
「あ、はい」
2人の間に沈黙が流れて数分、げんなりした様子で吉代が部屋に入ってきた。
「おかえり」
「ん、死ぬかと思った」
「それだけは無いでしょ」
「意外とそうでも無いんだ」
吉代の手首のデバイスには『255』と表示されている。
「すごい、残り2割くらいじゃん。あ、紹介するね、君が助けてきた……あれ、名前聞いてないや。ごめん、2人何て名前だっけ。というかワタシらも名乗ってないよね」
「プロフあんたその状態であのノリで話そうとしてたのか……」
呆れて溜め息を吐きながらも、吉代は明晶の隣に立ち、少年と向かい合った。
「どうも親友。それじゃ、ワタシらから自己紹介させてもらおうか。ワタシは村崎明晶。この村唯一の『生き残り』にして、この解放戦線の技術担当だよ。“プロフェッサー・アメシスト”と呼んでくれたまえ。こっちは我が親友にして戦友にして、あと何か色々の三色吉代。君らの名前も聞かせておくれ」
一息に言い切り、明晶は催促するように指を動かしてみせた。
「えっと、僕は金沢剛将(カナザワ・ゴウショウ)、彼女は佐原花(サハラ・ハナ)。県立鉱府光明学園中等部普通科の、どっちも2年です。今日は6人部隊で来たんですけど、他のみんなは……」
「多分、もう駄目だろうねぇ。君たち2人が生きていただけで十分奇跡だもの」
「そうでしょうね……」

  • 鏡界輝譚スパークラー
  • 蘇れ長編!
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