目を逸らしこそしたものの、その少年、剛将の口ぶりに悲壮感は無かった。
「……おや? そんなにショックじゃない?」
「いえ、その……僕たち、部隊の中じゃ年下の2人で、他の人たちは僕たちだけでも逃げるようにって、庇ってくれたんです。…………だから、仮に死んでたとしても、まあ、そうかな……って」
「タフだねぇ……。それじゃ、そっちのハナちゃんだっけ? その子も起こして早く帰ってもらおうかな。いつまでもこんな場所にいるものじゃないからね」
「はい……あ、でも、僕たちのP.A.ってどこに……」
「さあ? 親友、見た?」
吉代は首を横に振って答える。
「いや、見てないな。何か適当にくれてやったらどうだ?」
「それならもうあげたじゃない。まあハナちゃんには何か適当に都合してあげようかね」
そう言って明晶は机に立てかけておいた自動小銃型P.A.を花の手元に置き、剛将を見上げた。
「君の義腕にはいろいろと仕込んであってね。戦闘用P.A.としても使えるようにはなっているから、持って行ってくれて良いよ。使い方は帰り道で教えてあげよう。どうせ必要になるし」
「あ、はい。ありがとうございます!」
頭を下げる剛将にひらひらと手を振って応え、明晶は花を起こすために肩を揺すったり頬をつついたりし始めた。