「それでは、失礼します。本当にすみません、村崎さん、三色さん。お世話になりました」
部屋から出ようとする剛将が頭を下げ、気絶から目覚めていた花もそれに続いて一礼した。
「前に使っていたのの代わりのP.A.まで、ありがとうございました。今回は何もできなかったけど、いつかきっと、この村を救ってみせますから!」
「うんがんばれー」
花の言葉に無感情に答え、部屋を出る2人の後に続くように、明晶は小型ドローンP.A.を飛ばした。
『へいモシモシお二人さん? ワタシだ、プロフェッサー・アメシスト』
すぐに内蔵スピーカーを通じて、二人にコンタクトを取る。
「あれ、この声……村崎さん?」
『うんまあそうだけど……この小屋を出た瞬間、君たちが押し潰されたあのカゲの波が襲ってくる』
「ええっ」
『そんなに怖がる必要も無いよ。その義腕があるからね』
「ど、どう使えば……」
『たしか、それは光の力で動くって話はしたよね? 本物の腕みたいに正確に動かすために光の力を隅々まで行き渡らせる都合上、それで殴れば普通にカゲ倒せるんだよね』
「そうなんですか? あ、でも流石にあの密度を腕1本で相手は厳しいんじゃ……」
『大丈夫。色々と仕掛けはあるからね。そこで君らの帰り道をチュートリアルにしたいんだけどさ。こっちからもサポートするから、遠隔操作を許可してほしいんだけど』
「どうすれば……」
『許可すると言ってくれれば良いだけだよ。何なら頭で思うだけでも良い』
「あ、はい。……きょ、許可します」
剛将がそう言った瞬間、彼の意思に反して義腕がぐねぐねと動いた。
『オーケイ、動かせるようになった。それじゃあ実演しながら説明してあげよう。まず小屋を出て』
「了解です」