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はじまり

手に入れた途端に、その脆さに怯えた。

「すき」と口にする、
その息すらも詰まるほどの沈黙に、夕日が落ちていく。

彼の手が震える。
同じ不安に襲われていると信じる、
かたく、つよく、握りしめる。

「すきだよ」もう一度吐き出す、
頼りない息が、目の前をすっと伸びていく。


どうか。
どうか、この幸せを少しでも長く。

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