物で散らかった一室に敷かれた布団の上に、青緑色の髪のコドモが寝ている。
よく見るとその額には青緑色の鉱石が生えていた。
「…」
「あ、起きた」
青緑色の髪のコドモが目を覚ますと、近くのイスに座る額に赤い鉱石の生えた赤い髪のコドモが呟いた。
その傍には青い鉱石の生えた青髪のコドモがイスに寄りかかっている。
「やぁ、寝覚めはいかがかね?」
赤い髪のコドモはそう尋ねる。
「…ここ、どこです?」
青緑色の髪のコドモが聞くと、赤髪のコドモがハハハと笑う。
「ここはあたしたちの家さ」
ちょっと散らかってるけど気にしないでね、と赤髪のコドモは続けた。
「…君、その辺の道端で行き倒れてたんだよ」
そこをウチの“サファイア”が見つけてあたしが拾ってやったんだよーと赤髪のコドモは傍の青髪のコドモを親指でさし示しながら言う。
「…はぁ」
青緑色の髪のコドモは状況が飲み込めずにポカンとする。
「で、こっちも聞くけど君は誰だい?」
ちなみにあたしは“ルビー”、と赤髪のコドモは膝に肘をつく。
「“コランダム”一族のリーダーさ」
そう言って、“ルビー”はにやりとした。
暫くの間、青緑色の髪のコドモは考え込んでいたが、ふとこう呟いた。
「…ない」
「は?」
ルビーが思わず聞き返すと、青緑色の髪のコドモは顔を上げた。
「名前、ないと思います」
そう淡々と告げるコドモを前に、ルビーは唖然とする。