「クリスちゃん? クリスちゃ……あ」
クリスタルを探しに来たそのメタルヴマは、クリスタルの隣に座る異種のメタルヴマを認識した瞬間、反射的に針状の水晶柱を生成し射出した。
しかし、それがよく知る者であることに気付き、すぐに水晶柱の動作を止め、粉砕し霧散させた。
「何だ、ネコメか……」
「もうびっくりしたなァ……ルチルのひと。手が早いのよ」
背後からの無音の攻撃に対し、的確に後頭部を庇った腕を解きながら、ネコメは振り向きつつ頬を膨らませて抗議した。
「それが正解だから良いんだよ」
「そりゃぁそうなんだけど……クリスチャンのお友達なんだからこう、もっと手心ってものを……」
「……まあ、正直その子の相手をしてくれてるってだけで助かってはいるんだけどね。戦えないくせにうっかり結構なダメージを食らったりするもんだから……」
「はァー呆れたっ! 水晶のひとはこれだからいけない。戦いにしか価値を見出せないなんてサモシイと思いませんか!」
「クォーツ領は良い場所だからな。日々様々な部族に襲撃を受けるこの現況、戦えない上に読めないタイミングで戦場に現れる味方ってのがどれだけ恐ろしいと思っている。クォーツの戦力は決して大きくは無いんだぞ?」
「……参った微妙に反論しづれェや」
言い合いながら、ルチルも二人の隣に腰を下ろした。