「ぐっ」
木々が茂る山の中、ナツィと橙色の髪の少女が互いの武器で鍔迫り合いをしている。
じわりじわりと後ずさる辺り、見るからにナツィの方が押されているようだった。
「テメェ、どうやってその剣術を…」
ナツィがそう呟きかけて、少女は剣で無理矢理押してナツィを突き飛ばす。
「がっ」
ナツィはそのまま地面に転がる。
ナツィの手を離れた大鎌は、地面に落ちると消えていった。
「教えてもらったんだよ」
少女はポツリと呟く。
「魔術師に殺された、“兄さん”に」
「兄…?」
ナツィは起き上がりながら聞き返す。
「お前ら、“きょうだい”がいるのか…」
「そうだよ」
少女は淡々と答える。
「兄さんはウチらのために、身体を張って戦ってくれた」
だけど…と少女は俯く。
「兄さんはウチらきょうだいを逃すために、犠牲になってしまった…!」
お前ら魔術師たちのせいで…と少女は声を震わせる。