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Metallevma:水晶玉は流星を見通す その④

「外……だと?」
「そーお外」
ルチルが訝し気に問い返すも、ネコメは事も無げに答える。
「クリスチャンにも見えてるんだろうさ。ドキドキワクワクするような、“異世界”ってやつが」
言いながら、ネコメはクリスタルに意識を向けた。その目に映らないクリスタルの口元は、心なしか僅かに上がっていた。
「ナワバリ争い? 下らないねそんなこと。こんな小さい世界に甘んじる奴らの諍いになんか興味無いよ。すぐそこに見えてンだ、この不可視で強大な『壁』のその先が。出自やナワバリの違いなんかでいがみ合ってる暇も無いほど、ボクらの戦いは困難で不確かなんだぜィ?」
ネコメがニヤリと不敵な笑みをルチルに向けた瞬間、ネコメの首が刎ね飛び、後方から飛んできた何者かの腕に吹き飛ばされていった。
「ッ⁉ ネコメ⁉」
咄嗟に立ち上がるルチル。
「る、ルチル! 敵襲だ!」
駆け寄って来たのは、片腕を失ったルチルやクリスタルの仲間、ローズだった。
「ローズちゃん! あの腕ローズちゃんだったの⁉」
「うん、油断した。クソ、“あれ”が来たんだ!」
「あれってなに……」
首だけになったネコメが尋ねる。答えるのはルチル。
「……“流星刀”のトロイライト。最近この辺で猛威を振るってる『隕鉄一派』の1人だ」
「そっかー……ところでなおして」
「ああ。ローズちゃん!」
ルチルに呼ばれ、ローズが自身の傷口を抑えながら駆け寄ってくる。
「クリスちゃんとついでにネコメを頼む。戦況は?」
「アメシストがどうにかしてる」
「私はそっちに行く。他に誰も近付けるな。私とアメシストで駄目ならあとはもう無駄な被害だ」
「了解。行くよ、クリスちゃん」
「んぇあ?」
クリスタルはネコメの胴体を小脇に抱えたローズに呼ばれ、訳も分からずネコメの頭を抱えてローズについて避難した。

  • Metallevma
  • 多分隕鉄は鉱石に入る
  • ルチルとアメちゃんはクォーツ最高戦力
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