黒いコドモはグレートヒェンに突っ込みそうになったが、すんでの所で耐えて彼女の傍に降り立った。
「…」
黒いコドモは黙って少年の方を見る。
「なんだお前」
「なんだお前ってこっちのセリフだ」
少年の言葉に対し、黒いコドモことナツィは低い声で返す。
「よくも、よくもグレートヒェンにやってくれたな」
テメェら…とナツィは少年に近付く。
少年は怯えたように後ずさった。
ナツィは手に持つ大鎌を振り上げると、少年の脳天目がけて振り下ろそうとした。
と、ここで声が聞こえた。
「…“トラウ”ー‼︎」
ハッと声がした方を見ると橙色の髪の少女がこちらに向かって飛び込んでくる。
「⁈」
ナツィは翼を羽ばたかせてそれを避けた。
少女は少年に駆け寄った。
「“トラウゴット”!」
大丈夫⁈と少女は声をかける。
「“ドロテー”!」
どうして…と“トラウゴット”は困惑する。