「“ドロテー”!」
どうして…と“トラウゴット”は困惑する。
「黒い奴が急に飛んでったから、やられちゃうんじゃないかって」
心配になって…と“ドロテー”は涙目で続ける。
「…テメェら」
ここでふとナツィが呟いた。
「なにいちゃいちゃしてるんだよ」
グレートヒェンを襲おうとしてたんじゃないのか、とナツィは言う。
「…なによ」
なにか文句でも?とドロテーは立ち上がる。
「うちのグレートヒェンに手を出しやがって…」
許さねぇぞ、とナツィは大鎌を握り直しつつ歩み寄る。
「ここで、地獄に送ってやる‼︎」
ナツィはそう声を上げて大鎌を振り上げる。
「!」
トラウゴットとドロテーは驚きの余り身動きが取れなかった。
「…ナツィ!」
不意にグレートヒェンが名前を呼んだので、ナツィはハッと我に返る。
「そこまでしなくていいわ」
グレートヒェンがそう言うと、ナツィはちらと彼女に目を向ける。