「まだ好きとか言ってねーけどー」
ヨハンはそう笑って前を向く。
「…」
ナツィは沈黙していたが、その顔は赤かった。
「ふふふ」
グレートヒェンはその様子を見て微笑む。
「私もお前のことは好きよ」
グレートヒェンは前を向いて呟く。
「私の大事な“使い魔”なのだから」
グレートヒェンがそう言うと、ナツィはちらっと彼女の方を見た。
そして彼女の左手に手を伸ばした。
「?」
グレートヒェンが不思議そうに立ち止まって振り向くと、ナツィは恥ずかしそうにこうこぼす。
「…ちょっとだけ」
グレートヒェンは少しの間驚いたような顔をしていたが、やがてふふと笑うとナツィの手を握り直した。
そして2人はまた歩き出した。
〈おわり〉