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Metallevma:水晶玉は流星を見通す その⑫

「ふぅ……危ないところだったね、ルチル」
来たる衝撃に備え反射的に目を閉じたルチルだったが、危惧したそれが襲い掛かってくることは無かった。かけられた声に恐る恐る目を開くと、アメシストがニタリと笑いかけている顔が目に入った。
「あ……アメシスト⁉ お前、身体は……!」
「シトりんにもう少しだけ動かさせてもらってる。大丈夫、この戦いが終わったらしばらく療養するさ」
アメシストの言葉に合わせて、アメシストの手足や損傷を補い埋めるように燃えていた黄金色の炎が揺れ動く。
「ローズもこんなに小さくなっちゃってまあ……」
分裂した炎の細腕でローズの残骸を抱え込み、アメシストはそれを眺めながら呟く。
「ローズちゃんはダメージで疲れてるんだ。構わないでやってよ」
「私もルチルも同じだってのに。あいあい」
アメシストは頷き、“天鉄刀”“隕鉄刀”の両名に背を向けて駆け出した。
「アメシスト⁉ 何故逃げるんだ! あいつらに一撃返してやらなきゃ気が済まない!」
炎の腕から逃れようともがき始めるルチルを、アメシストは炎の腕を分裂させることで強引に抑え込んで走り続ける。
「馬鹿言え! 私とルチル、ついでにローズ。私ら3人、全員生き延びればそれが私らの勝利だ。傷さえ治せば何度でも挑めるんだぜ、相棒!」
「ッ……! ……悪かった、熱くなってた」
「良い子だ、ルチル」
駆けるアメシストの背後から、“隕鉄刀”カマサイトが追いかけるように突進してくる。
「逃げられると思ったか馬鹿め!」
「逃げられるさバカめ」
抉れた腹部を埋める黄金の炎に“隕鉄刀”の刃が突き刺さり、衝撃波で一瞬炎が吹き飛ばされる。
「うおっとシトりん、無事かい?」
黄金の炎が枝分かれし、小さくサムズアップを作ってみせる。
「アッハハハハ! 私も無事だ、こっちの身体は“流星刀”にやられて殆ど空っぽだからね。そして“隕鉄刀”の弱点は『ここから先』にある」
炎の脚を大きく伸ばし、アメシストは“隕鉄刀”から距離を取る。しかし、カマサイトはそれを追うことができず歯を食い縛って地面を踏みしめている。
「奴の能力は『自身の持つエネルギー全てを刃の先から対象に注ぎ込む』もの。『全て』だぜ。攻撃の直後、奴は絶対に立ち止まる。立ち向かえばまず勝てないが、『追われる側』にさえ回れれば、まず負けないんだよ」

  • Metallevma
  • ビタァッ!ってなる
  • 炎化したシトリンはそこそこタフい
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