静かに、秋の様相が 地を這って忍び寄る 静かに、君の咳が 上擦って響く夜 心が 音に変わって 知らない記憶の一端を見る それがどうにもせつないから、 揺れたグラスの水面 目を逸らしてしまった 白驟の夢を見る 晴れとも言いきれない夜空は 隠した名前の答え合わせを しきりにせがむ 冷たい息に噎せて 諦めて、口を噤んだ