0

Metallevma:ネコメとクリスの小さな宇宙~眠る雷神~ その②

クォーツ領は半径2㎞程度の凡そ円形の高い泥塀に囲まれて守られており、出入りが可能な関所は、東側の1か所にのみ存在する。
関所の門から反対側、西の辺の周囲には日本庭園のような広大な敷地が存在し、ネコメとクリスタルはその庭園に向かっていた。
「見て見てクリスチャン。見えるかい? ボクには『素敵なモノ』ってことしか見えない」
「にゃん、きれーなとこ」
「そうかい。それじゃあ突撃ィー!」
駆け出そうとするネコメの足首が何かに引っかかり、ネコメは勢いのままつんのめった。転倒し額を地面に打ち付ける直前、何者かに身体を支えられる。
「はいストップ。ここには入っちゃ駄目」
「うげぇえ? 誰?」
ネコメの見上げる先、眼球の無いネコメには見えなかったが、白拍子の水干に身を包んだメタルヴマが鋭く睨みつけていた。
「ワタシはガーデン・クォーツ。この『庭』の管理者さ。悪いがここは、ワタシ以外の者に入ってもらっちゃ困るんだ」
「なんでぇ? 庭なら見せておくれよぅ」
「そいつは駄目だね」
ガーデン・クォーツは短く断り、ネコメを立ち上がらせた。
「だからなんでなんだよぅ」
ガーデン・クォーツは指を1本ずつ立てながら理由を述べた。
「理由は3つ。一つに余所者の貴様がいるから。二つに無暗に他人に入られて、意図的にしろそうでないにしろ荒らされてはワタシが悲しいから。そして三つに……」
そこで言葉を切り、一瞬躊躇してから、再び口を開いた。
「……これは貴様をクリスちゃんの友人であり闘争に関心を示さないクリソベリル族と見込み、疑念を敢えて放棄して説明することだが」
「うん」
「この庭の存在意義がただの『庭園』ではなく、『監獄』、或いは『封印』であるからだ」

  • Metallevma
  • クリスはネコメの頭にしがみついていたので無事です
  • 蘇れ長編!
レスを書き込む

この書き込みにレスをつけるにはログインが必要です。