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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 17.ヨウコ ⑥

”彼ら”に今日も会おうとしたが、会えなかった事。
その原因が先週の出来事にあると考えた事。
先週出会ったあの少女に”彼ら”の異能力が奪われているかもしれない事、などなど。
とにかく今思っている事を洗いざらいわたしは話した。
「…なるほど」
そういう事ね、と稲荷さんはわたしの話を聞いて呟く。
「あの、師郎とかから何か聞いていませんか?」
同じ学校に通っているんですよね?とわたしは稲荷さんに尋ねる。
「…」
稲荷さんは暫く口をつぐんでいたが、不意に口を開いた。
「あなたは、知らない方が良いわ」
”あの子”のことは、と稲荷さんはこぼす。
「どうして?」
「どうしてって…これはわたし達異能力の問題よ」
あなたみたいな常人が関わる事じゃないわ、と稲荷さんは続ける。
「だから忘れなさい」
先週の事も、異能力の事も、そしてわたし達の事も、と稲荷さんは悲し気に笑う。

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