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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 17.ヨウコ ⑩

ピンポーンとインターホンが鳴って暫くして、ガラガラと引き戸が開いた。
「…」
玄関には2つ結びの見慣れない少女が立っていた。
「鏡子?」
「ハ~イ”結香吏(ゆかり)”ちゃん、師郎達はいるかしら?」
稲荷さんが手を振りつつそう言うと、”結香吏”と呼ばれた少女はいるよ、と答える。
「あの人が師郎達に会いたいって言うから、後は頼めるかしら?」
稲荷さんがこちらを見ながら尋ねると、結香吏はうんとうなずく。
「じゃあ任せたわ」
稲荷さんはそう呟くと、わたしにこう呼びかける。
「じゃ、後はこの子にお願いするから」
わたしはこの辺で~と稲荷さんは一軒家の敷地を出る。
「え、ちょっと?」
わたしは戸惑ったが、稲荷さんは気にせずその場を後にした。
「…」
その場には微妙な沈黙が流れた。
わたしが一軒家の敷地内を見ると、家の玄関で2つ結びの少女がこちらを見ている。
「…上がりなよ」
少女こと結香吏がそう言うので、わたしはじゃ、失礼しますと日暮邸の敷地に入っていった。

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