「……そうかい」
ライトニング・クォーツは落胆したように肩を落とし、何気ない所作で二人に片手を向けた。
「聞いてくれると、嬉しかったんだがなァ」
ライトニング・クォーツの言葉と同時に、二人の間を電撃が走り抜けた。
「言うたろ、雷神様ッてよ。ここまでノコノコ来た時点で、お前らァ儂に従うか死ぬしか無ェんだぞ?」
「……だってよ、クリスチャン。どうする?」
ライトニング・クォーツを見つめたまま、ネコメが尋ねる。
「んにゃぁー……やー……」
電撃がぶつかった足下を見ながら、クリスタルが反応する。
「ふーむ……今、見えてる?」
「みえてる」
「オーケイ」
じりじりと後ずさるクリスタルの足元に、牽制するように電撃がぶつかる。
「オイオイお前さんら、こんな目の前で逃げようって腹づもりかイ? 言っておくがなァ、儂の電撃は相当な速度でお前さんらを殺せるぞ? 核程度なら容易く焼き砕ける」
「……いやァー、逃げようだなんてそんなもんじゃァ無いやい」
クリスタルを庇うように数歩前に踏み出したネコメの胸の辺りに、電撃が直撃する。
「ぐぇっ」
「何を企んでいるのか知らんが……ガキ一人で儂の異能を止められると思うなよ?」
「痛てててて……止めようとか、クリスチャンだけ逃がそうとか……そんなんじゃないノヨ、雷神様……」
クリスタルが倒れ込んだネコメに心配そうに駆け寄り、抱き起す。
「あー、大丈夫、ダイジョウブよクリスチャン。熱くて痛くて痺れてるだけだから……」
「んにゃぇ、そーゆーのダイジョブくないっていうの……」
「そうかな、そうかも?」
2人の様子を眺めていたライトニング・クォーツが、不意に電撃をクリスタルに向けて放った。
「……ボクらの『勝ち』ですぜ、雷神様」
ネコメが呟いた。