「ちょっと俺達だけで話したいことがあるから、席を外してくれないか?」
師郎がそう言うと、結香吏は分かった、とその場を離れた。
「…」
5人だけになったその場に、微妙な空気が流れる。
「ねぇ、あの子って…」
「彼女は日暮 結香吏(ひぐらし ゆかり)」
わたしが尋ねようとした所でネロが口を開く。
「師郎の5つ下の妹」
ネロがそう言ったので、わたしは思わずはぁ、と呟く。
「まぁそんな事は置いといて」
お前いつまでもそこに立ってないで座ったら?と師郎がわたしに目を向ける。
「…あ、お邪魔します」
わたしはそう答えて部屋に入り、畳敷きの床に座った。
「まず聞くが、どうしてここが分かった」
わたしが座った所で、師郎はそう尋ねる。
黙っている他の3人は、冷ややかな目をこちらに向けてきていた。
わたしは恐る恐る答える。
「…い、稲荷さんに案内されて」
「稲荷か」
わたしがそう言いかけて、師郎はポツリとこぼす。