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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 番外編 死霊使いと妖精王 ①

朝の学校は騒がしい。
部活の朝練をする者、友達と共に喋りながら登校する者、遅刻ギリギリで教室に滑り込む者…
とにもかくにも、様々な生徒で廊下も教室も賑わっている。
しかし、不登校のボクにとってそれは長い事無縁だった。
学校に通う気がないから朝早く起きたりしないし、そもそも家を出る事もない。
その事について親にしょっちゅう小言を言われてきたが、ここ数年は慣れたのか諦めたのか、あまり言われなくなってきている。
だが今日は違った。
「…」
ボクは“1年1組”と書かれた札が下がる教室の後ろの入り口に立っていた。
周りの生徒達はボクの事を気にせず教室に入っていく。
この日、ボクは担任から呼び出されて朝から学校に来ていた。
担任曰く、“文化祭も近いし、久々に学校に来てみたら?”だそうだ。
ボクは嫌だったが、親にも“たまには顔出したら?”としつこく言われてしまったので、渋々登校する事にした。
まぁ、”あの一件“があって以降、”奴“がボクに手を出す事はないと思っているから学校に行っても大丈夫だとは思うんだが。
でも入学後に何とか1週間登校したっきりこの学校には来ていなかったので、少し落ち着かない感じはした。
「おはよー」
「おっはー」
廊下の声が騒がしい。
それに、いつまでもここに突っ立っているワケにはいかない。
ボクは教室に入ることにした。

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