「問題はソイツが、ボク達の”記憶”そのものである異能力を奪っちまう事なんだよ」
「え…?」
その言葉に対し、わたしは唖然とする。
「記憶そのものが異能力って…」
「まぁ文字通りの意味だよ」
ここで耀平が割って入った。
「おれ達の引き継いだ異能力者としての記憶も、生まれた頃からの記憶も、”異能力”そのものなんだ」
耀平は話を続ける。
「それが根こそぎ奪われたら、おれ達は記憶も異能力もないただの人間になっちまう」
おれ達の絆も、思い出も、全部消えてなくなる、と耀平は言う。
「それは困るから、おれ達は奴を恐れてるんだ」
耀平はそう言って手に持つコップのジュースを飲む。
「…これが、寿々谷の異能力者達の恐ろしい実情だ」
それでもアンタは、ボク達と関わりたいと思う?とネロはわたしに尋ねる。