「…追わなくていいのか?」
露夏が飛んできたピスケスに尋ねる。
「追跡は“学会”の他の魔術師達の仕事だから、私達はいいのよ」
ピスケスはそう言って車が走り去った方を見る。
「それにしてもアイツ、随分とイタいこと言うな」
見ているこっちが恥ずかしい、とナツィはこぼす。
「まぁ仕方ないんじゃない」
可愛がられてるって証拠よ、とピスケスは諭す。
「…」
ナツィは暫く黙っていたが、ふと近くの建物を見やった。
「お前ら、もう出てきていいぞ」
ナツィがそう言うと、建物の陰からキヲンとかすみが出てきた。
「…」
2人は申し訳なさそうな顔をする。