伏せた僕たちの頭上を通り抜けたのは、小屋程ある巨大な氷板だった。
そして、僕の上に降ってきたのは。
「マスター⁈」
彼女の髪だった。
腰まであった群青色の髪は今や、肩につく程短くなっている。
「...チッ」
「マスター!大丈夫ですか⁈」
「大丈夫だよ怪我はしてない。髪の毛ならまた伸びるしね。」
そう言う彼女の全神経は、目の前の巨獣、クリアウルフに注がれていた。
先程の氷板の二倍はあろうかという巨獣が、二体。
どちらも緑色の目で、こちらを見つめている。
「あれが今回の...!」
「うん。そうだよ。とりあえずさがり給え、君まで巻き込みかねない。」
そう言うと、彼女は呪文を唱え始める。
「マスター、まさかそれ...!」