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横暴狩り その④

完全に死亡し意識が消滅する直前、湊音は異能を発動した。
(大体……10秒かもう少し。無理に立ち直る必要は無い。重心移動に従ってそのまま転んでしまっても構わないよ)
その意思は時間を遡り、過去、掴みかかられる直前の湊音自身の脳内に到達した。
(なるほど、オーケイ)
意思に従い、身体を反らせた状態から無理に起き上がろうとせず、自分に近付いてくる足音を聞きながら、湊音は仰向けに倒れ込んだ。この行動によって、青年の掴みかかる行動は空を切る。
「何ッ⁉」
「ていっ」
動揺する青年の向こう脛に、倒れた状態から湊音が蹴りを食らわせた。
「ぐッ⁉」
思わず脛を抱えて屈み込む青年を立ち上がって見下ろし、湊音は徐に、青年の頭に手を置いた。
「これで詰み」
「な……、……?」
青年の身体は時間を止められたかのように静止してしまった。

  • ぼくのわたしの主従関係
  • 過去を変える→現在も変わるのコンボ
  • 止められたかのよう(止めたのとは微妙に違う)
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