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とある小説について。 No.9

俺たちは店を出て、あてもなく繁華街を歩いた。
そして。
人通りのない路地で、俺は足を止めた。

「優?どうしたの?」

俺は先刻から薄々思っていたことを口にする。

「お前さ、もっと他に用件があるんだろ?俺に。俺じゃなきゃいけない用が。」

当たってるだろう。そう思った。
当たって欲しくない。そうも思った。

「バレちゃったかぁ、優、カン鋭い方だっけ?」

当たってしまった。
当たってしまった以上、口にせざるを得ない。

「お前、回りくどいんだよ。俺に用って言ったらほら、あの時の小せ

俺が最後まで台詞を言い終わる事はなかった。
なぜなら。

「ごめんねぇ。恨むなら、自分の生まれた時代を恨んでね。」

鳴り響く銃声。
その日、俺、加藤優は確かに死んだ。
否。
死んだはずだった。

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