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横暴狩り その⑥

「小人くん。小人くん? いるかな?」
路地から大通りに出て、歩きながら人通りの減ったタイミングを見計らって湊音が呼びかけると、足下に土くれ小人が駆け寄ってきた。
「次の子のところまで案内してくれるね?」
小人は敬礼を返し、飛び跳ねるように湊音を先導し始めた。
(二人目は……何だっけ、何かの爬虫類が異能の対象だったと思うんだけど……。何か、随分珍しい生き物『だけ』が対象だったせいで、その印象しか頭に残ってないや)
土くれ小人が通りを外れ、2棟のあまり高くないビルの隙間に入り込んでいった。湊音はそれを一度は見逃したものの、姿が消えたことに気付いてからすぐに異能を発動して過去に遡るように捜索し、どうにか小人に追いついた。
(いやぁ危なかった、考え事しながら歩くのは危険だね。…………たしか干渉者級の異能者だったはず。どんな問題を起こしているのか、ひーちゃんは教えてくれなかったけど……まあ、さっきの子より恐ろしくは無いかな……)
考えながら歩いていると、頭上に重量物が落下、衝突してきた。気絶する直前に過去干渉を使い、回避しつつ落ちてきたものを両手で受け止める。
「…………あぁー、なるほどね」
黄緑色の鱗、縞模様のある長い尾、太く頑丈な肉体、背中に並ぶ独特の棘状のクレスト、若いながらも既に全長約1mはある大型爬虫類、グリーンイグアナだった。
「思い出した。次の子は『イグアナの干渉者』か」

  • ぼくのわたしの主従関係
  • だから考え事しながら歩くなと
  • 実は原本よりかなり加筆してある
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