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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 18.メドゥーサ ①

寿々谷には夏の風物詩もあるが、秋の風物詩もある。
それは、”寿々谷市民まつり”。
寿々谷市中心部にある広い公園”寿々谷公園”で開催されるお祭り。
寿々谷の市民や学校、各種団体による出し物や催し物、公園中に並ぶ屋台などでものすごい賑わいを見せる、寿々谷の一大イベントだ。
地元民の間では、”寿々谷二大祭”の1つにカウントされるこの祭について話しながら、わたし達は駅前を歩いていた。
「市民まつりどうするー?」
「屋台周るっきゃないでしょ」
「出し物も気になるなぁ」
それぞれが話に花を咲かせる中、不意にネロがこう言った。
「こういう時に、”奴”が出なきゃ良いんだけど」
ネロの言葉に、皆が足を止める。
「…”ヴァンピレス”か」
耀平が思わず呟くと、ネロは苦笑する。
「まぁ、奴の事だし、市民まつりを狙って他人の記憶を奪って周るだろうね」
それ位、他の異能力者も分かってるよ、とネロは前を向く。
「そうだな」
ビビッてちゃ何もできないもんな、と耀平は笑った。

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