「クリアウルフ...?」
見た目を見ればクリアウルフだ。
しかし、瞳は緑が主で、稀に赤や黒のものがいる程度である。
鈍色の瞳など聞いた事がない。
「あれはクリアウルフだよ。...珍しい個体だけどね。」
彼女は続ける。
「やれやれ。年を重ねて賢くなるんじゃなくて、非情で狡猾になるなんて。異種族と言えど嘆かわしいねぇ。」
年を重ねる...?彼女は何を言っているのだろうか。
「マスター、それってどう言う...?」
「君はかの東洋の魔獣、『バケネコ』を知っているかい?」
バケネコ...見た事はないが、書物では読んだ事があった。
「はい...。それが?」
「クリアウルフも同じさ。長く年を重ねた個体は知性を持つ。何より最大の特徴は、『瞳が鈍色に変化すること』。他には会話ができる個体も多いみたいだね。」
“余裕だな小娘。わしを前に悠々と御講義とはな。”
「誰⁉︎」
誰だ。老人の様なしゃがれた声。
「小娘って、酷いねぇ君も。これでも君の5倍以上は生きてるよ?」
“抜かせ!たかが人間如き、それほど生きている筈はない。はったりなど無駄だぞ。”
声の主はクリアウルフか。
彼女とかなり話し込んでいる。