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横暴狩り その⑧

イグアナ・ドームと格闘しつつ数分ほど待っていると、土くれ小人が数体組で引き返してきた。その手には長さ60㎝ほどの木の枝と軍手が1双携えられている。
「おやありがとう、素敵な気遣いまで」
軍手を履き、木の枝を手に湊音は再びイグアナ・ドームに相対した。
まずイグアナの1匹の頭を、枝で軽く突く。すると、別のイグアナが枝に素早く噛みついた。
(よし来た。さて、釣れるかな……)
イグアナが木の枝を放そうとしないのを確認してから、それを慎重に手元へ引き寄せる。やがて前肢がドームから離れ、あと一歩というその時、枝に更に重量がかかった。また別のイグアナ数匹が、持ち上がりかけていたイグアナを捕まえているのだ。
「……君たち、随分とこの『壁』を壊したくないみたいだね。中の人がよっぽど大切なのかな?」
枝を引く力を僅かに強め、片手が届く距離まで引き寄せてから、枝を咥えていたイグアナの頭に触れる。
(この枝にガッチリと食らいついた、その瞬間を『固定』した)
「これで君はもう……」
枝を勢い良く振り抜くようにして、イグアナを『釣り上げる』。
「離れられない」
枝を噛んでいたイグアナが引き上げられるのに巻き込まれ、他の数匹の個体もドームから弾き飛ばされた。

  • ぼくのわたしの主従関係
  • 改めて爬虫類嫌いにはキツイ絵面やね
  • タグのネタがぬぇ
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