田舎にいると、都会の普通とはずれていることでも普通として受け入れてしまいがちなようだ。律は昔から地元にいる怪異に好かれやすく、よく幼体の『御金魚様』とかいうやつを服にくっつけていた。今もくっついている。 「邪魔だなぁ」 そうぼやきつつ家に入ると、玄関先でことが体育座りしていた。 「おかえり」 「ただいま。こと、頭割れてない?」 ことは慌てて自分の頭を触った。 「わーお。教えてくれてありがと」 「いえいえ」 律にとっては、これが普通なのである。