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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 18.メドゥーサ ④

それから1週間後。
わたし達はショッピングモールの片隅にある休憩スペースのイスに座りながら、いつものように駄弁っていた。
内容はもちろん、寿々谷市民まつりだ。
「市民まつりにウチの学校の吹奏楽部が出るんだとよ」
「俺の学校もだな」
ついに1週間後に迫った市民まつりについて、耀平と師郎は盛り上がる。
黎もその様子を見ながら時々うなずいたりする辺り、話を楽しんでいるようだ。
しかし、ネロだけは違った。
彼女は頬杖をついてそっぽを向き、どこか上の空みたいだった。
「…なぁネロ」
ここで耀平もその様子に気付いたのか、ネロに話しかける。
「お前今日はどうしたんだ?」
よそ見なんかしちゃってさ、と耀平は尋ねる。
「…何でもない」
ネロはちらっと耀平の方に目を向けてそう返す。
「何でもないって…」
耀平はそう呟くが、何かに気付いたのかこう言った。
「もしかして、先週の”あの子”の事が気になるのか?」
耀平の質問に、ネロはぎくっと飛び上がる。

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