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横暴狩り その⑩

「ただいま戻りました、女王様」
日和の前にわざとらしく跪く湊音の頭を、日和は一度優しく撫で、顔を上げるよう促した。
「で? そっちはどうだった?」
「『刃』の方にはきつく言っておいたから、多分大丈夫。『イグアナ』の方は『怪獣』の彼に投げておいた」
「そうか。よくやった。誉めて遣わす」
日和に手招きされ、湊音は立ち上がった。彼が姿勢を正す前に、日和は湊音の手を取り強引に抱き寄せた。
「……ひぃちゃん?」
「ごめんなぁーみっちゃん。危険な仕事はいつもお前頼みにして……、今日は何回死んだ?」
「4回。大した回数でも無いよ」
「馬鹿言え、私の怖がりでお前を危険に晒してるんだぞ?」
「僕だって好きで君の身代わりをやってるんだ。謝ったりしないでよ」
「むぅ…………」
数十秒かけて湊音を丹念に撫で回した後、日和は彼を解放した。
「……ひぃちゃん、何かあったの?」
乱れた着衣を整えながら、湊音が尋ねた。
「んー…………私のこと、『手下を平気で死地に向かわせる冷血無慈悲の愚王』って言ってきた奴がいて……」
「それはまた…………」
「反論しにくいんだよなぁ……」
「そうだねぇ……」

  • ぼくのわたしの主従関係
  • とりあえず完結
  • だって死んでもやり直せるし……
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  • 企画参加ありがとうございます。
    「主従」の形はなんでもいいので、別に「王と臣下」でもOKですよ。
    ちょっと前の企画の物語の続きを見られて楽しかったです。
    本当に、企画参加ありがとうございました。