“馬鹿な、一体何処へッ⁈”
倒れ込んだクリアウルフは辺りを見回す。
「此処だよ、全く。人の話を聞かない奴はこれだから。」
彼女はそう言いながら、クリアウルフの後ろからてくてくと現れた。
そして、手にはワイヤー。
「どうだい?ラッキーアイテムも、中々役に立つだろう?」
どうやら、クリアウルフの足にワイヤーを引っ掛けて引く事で体勢を崩させたらしい。
彼女は微笑みながら語りかけた。
「却説。君、今から死ぬけど、何か言い残すことはあるかい?」
“何故私が...ッ!百年生きた魔獣の私がこんな小娘に...!”
「仕方ないなぁ、教えてあげるよ。君、今百歳なんだよね?今、此処に居るのはね、」
彼女の顔から笑みが消えた。
「568歳の魔術師だよ。まぁ、せいぜいこれを冥土の土産にし給え。」