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視える世界を超えて エピソード1:鬼子 その④

「え、種枚さん……?」
「いやァっははははは! ごめんね、君があんまり無知なものだから!」
種枚さんはなかなか歯に衣着せぬ言い方をしてくる。
「良いかい、君? 『霊感』とは、文字通り五感で霊体に干渉する能力だ」
こちらの胸の辺りを、やけに長く尖った爪の生えた指でつつきながら、種枚さんは言葉を続ける。
「霊体を感知する。それだけならそれは霊感でも何でもない。奴らの存在を知っているなら、誰にでもそのくらいできるものさ」
言いながら、種枚さんは親指で彼女の後方を指差した。
そちらに目をやると、さっき遭遇したあの巨大な人影が、物凄い勢いでこちらに突進を仕掛けてきているのが見えた。
「いやァ、思ったより早かったね。腕を1本奪ったのに……良いかい君」
自分を庇うように、種枚さんはあの人影に向けて一歩踏み出した。そういえばよく見ると、ハーフパンツから伸びた彼女の足は、何も履いていない素足のままである。
「霊感ってのは『こういうの』のことを言うんだ。覚えておきな」
彼女が僅かに重心を前に傾ける。瞬間、その姿が『消えた』。
人影は勢いそのままにこちらに突進してくる。種枚さんはどこに消えたのか。目だけを動かし探していると、すぐに彼女は見つかった。

  • 視える世界を超えて
  • 人外じみた運動能力による疑似瞬間移動
  • 種枚さんは生物学上人間のはずなんです
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