「でもあの子、ボクを見た時にボクと初対面みたいな顔してた」
ネロの言葉に耀平は首を傾げる。
「え、じゃあ”あの子”はネロの事覚えてないって事?」
同じ異能力者だよな…?と耀平は呟く。
「多分、”あの子”の異能力はまだ完全に発現し切ってないんだと思う」
まだあれ位の年齢なら発現し切ってなくてもおかしくないし、とネロは続ける。
「発現し切ってないって事は、記憶も完全に引き継がれてないからボクに気付かないんだと思う」
ネロはそう言った。
「…ネロは、ソイツと仲良くしたいのか?」
「へ?」
ふと師郎が尋ねて、ネロはポカンとする。
「いやだって、人間としては見ず知らずの相手だけど異能力者としては大昔の知り合い、なんだろ?」
そんな奴に自分から話しかけに行ったって事は、仲良くなりたいとしか思え…と言った所で、ネロはそ、そんなワケないやい!とイスから立ち上がる。
「べ、別に、たまたま知っている匂いがしただけで」
仲良くなりたいだなんて思ってないもん…とネロは顔を赤らめながら言う。