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視える世界を超えて エピソード1:鬼子 その⑤

種枚さんがいたのは、突進する人影の上方数m。いきなり消えたように見えるほどの一瞬で、あの位置まで跳躍したっていうのか。
「そっちを狙うのかい。それは困るなァ……」
種枚さんが空中で回転し始める。
「……私と、やろうぜッ!」
そして回転の勢いを乗せ、高速で落下した種枚さんが、人影の肩の辺りを掠めるように着地する。一瞬遅れて無事だった側の人影の腕が、彼女の触れた肩関節から折れ砕けるように外れ、人影の本体は突進の勢いのままに倒れ込んだ。
しかし、人影はすぐに頭を僅かに持ち上げ、彼女のいるのとは反対側に、勢いをつけるように大きく真横に振り始めた。
(頭突き……ッ!)
そして注意する声をあげる間も無く、横振りの頭突きが直撃した、はずだった。
「……良いねェ」
種枚さんは頭突きを片手で軽々と受け止めていた。そして、
「『熱く』、なってきたァッ!」
空いた片手で逆に殴り飛ばしてしまったのだ。

  • 視える世界を超えて
  • 熱くなってまいりました、はい。
  • 種枚さん、人間のはずなんだよな……
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