「なるほど」
つまりわたしがあの子の昔の知り合いに似てたからこの間話しかけてきたんだ、と言いつつ少女はネロに目を向ける。
ネロは恥ずかしがって耀平の陰からこちらを覗き見ていた。
「うん、何かそうらしいんだよー」
ごめんなーアイツが迷惑かけてーと師郎は笑いながら頭をかく。
「ううん、良いの」
わたし、ここに引っ越してきたばかりだから誰でも話しかけてくれる人がいるのは嬉しいな、と少女は微笑む。
「それで…謝花 メイ(じゃはな めい)ちゃん、だっけ」
「うん」
わたしが話しかけると、メイと言う少女はこちらを向く。
「どうしてここへ来たの?」
ショッピングモールのこんな隅っこ、中々来る人いないんだけど…とわたしは呟く。
「あー、ママがね、トイレ行って来るからあっちで待っててって言ってたの」
そしたら見覚えのある子がいて、とメイは続ける。
「…で、よく見たらウチのネロだったって事か」
耀平がそう言うと、メイはうんとうなずく。
「まさか、先週話しかけてきたあの子だなんて思わなくて」
びっくりしちゃった、とメイは笑いつつ再度ネロの方を見た。
ネロは驚いて耀平の陰に顔を隠した。